【全日本モトクロス選手権 レポート】
2023 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ
第9戦 第61回MFJ-GPモトクロス大会
2023年11月11日(土)~12日(日)
宮城県/スポーツランドSUGO
天候:曇り
気温:9度
コースコンディション:ドライ
観客:3.200人
IAクラスは全9戦のシーズンとなった2023年の全日本モトクロス選手権は、いよいよ今季最終戦を迎え、第61回MFJ-GPモトクロス大会が、今季第3戦の舞台ともなった宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。
オンロードサーキットやカートコースなども有する複合モータースポーツ施設内にあるSUGOインターナショナルモトクロスコースは、丘の斜面に設けられており、自然の地形を生かした豊富なアップダウンも特徴。ハイスピードセクションが多めだがタイトなターンもあり、変化に富んだレイアウトとなっている。
路面は粘土質。天候は土曜日が風の強い曇り時々晴れで、日曜日は最高気温9℃の寒い曇り。路面コンディションは、適度な掘り起こしと散水でベストな状態だった。
Westwood MXは今季、全日本最高峰クラスのIA1に「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から参戦する富田俊樹選手(#1)と渡辺祐介選手(#3)、ホンダサポートチームの「Honda Dream Racing Bells」からエントリーする大城魁之輔選手(#4)、IA2クラスにカワサキのマシンを駆り「ピュアテックレーシング」から参戦する西條悠人選手(#8)とプロモーションライダー契約を締結。また、今季は「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」から選手兼監督としてIA1にフル参戦して、第7戦ですでにシリーズタイトル獲得を決定したジェイ・ウィルソン選手(#27)に、100%ブランドのゴーグルをサポートしてきた。この最終戦も、5名全員が参戦を果たした。
IA1クラス ヒート1
【IA1 ヒート1】
富田俊樹選手(#1)がホールショットを奪い、これに大城魁之輔選手(#4)とジェイ・ウィルソン選手(#27)が続いてレースがスタート。ウィルソン選手がオープニングラップで早々とトップに浮上すると、レース序盤から徐々にリードを拡大していった。2番手争いでは、大城選手が3周目に富田選手をパス。同じ周、ミスした富田選手と接触した内田篤基選手の転倒により、渡辺祐介選手(#3)が4番手に浮上した。
5周目、富田選手が転倒して5番手にダウン。これで3番手に浮上した渡辺選手は、3秒ほど前を走る大城選手を追った。この段階で、ウィルソン選手は約8秒のリード。レース中盤以降、トップのウィルソン選手から5番手の富田選手までは、前後の間隔をやや拡大させつつポジションをキープした。そしてレースは15周でチェッカー。ウィルソン選手が優勝、大城選手が2位、渡辺選手が3位、富田選手が5位となり、Westwood MXのサポートライダーが表彰台を独占した。
IA1クラス ヒート2
【IA1クラス ヒート2】
大城魁之輔選手(#4)がホールショット。ジェイ・ウィルソン選手(#27)は出遅れ、10~11番手からの追い上げを強いられた。それでもウィルソン選手は、2周目には3番手。翌周にはトップに浮上し、その後は徐々に後続を離した。一方、2番手争いは大城選手を先頭に星野優位選手、大倉由揮選手、渡辺祐介選手(#3)、能塚智寛選手、富田俊樹選手(#1)までの6台が縦に長く連なる状態に。ここからまずは大城選手が抜け出し、前後に5秒程度のギャップがある単独走行の2番手となった。
混戦が続いた3番手争いでは、7周目に渡辺選手がミスで7番手に後退。能塚選手が抜け出し、星野選手が脱落したことで、レース終盤には富田選手と大倉選手と渡辺選手が接戦の4番手争いとなった。そして14周で終了となったレースは、ウィルソン選手が優勝し、大城選手が2位。富田選手は4位、渡辺選手は5位となった。ウィルソン選手は、シーズン23レースのうち22勝を挙げてのチャンピオン。シリーズランキングでは富田選手が2位、大城選手が5位、ケガで欠場が続いた渡辺選手は12位となった。
IA2クラス ヒート1
【IA2クラス ヒート1】
西條悠人選手(#8)が、前日の予選ヒートレースに続いてホールショット。ところが1周目の終盤で、後方から追い上げてきた横澤拓夢選手のアタックを受け、接触により西條選手のみ転倒を喫した。これで19番手あたりからの追い上げを強いられた西條選手は、10周目には11番手まで順位を回復。しかしこの段階で前のライダーとは距離があり、14周のレースを西條選手は11位でフィニッシュした。
IA-2 ヒート2
【IA2クラス ヒート2】
西條悠人選手(#8)はやや出遅れ、1周目を9番手でクリア。レース前半は、佐々木麗選手を僅差でマークした。7周目に佐々木選手が池田凌選手を抜くと、佐々木選手と池田選手と西條選手による三つ巴の7番手争いに。10周目に、西條選手も池田選手をパスした。終盤、西條選手は佐々木選手に肉迫したが、レースは14周で終了となり西條選手は8位でゴールした。シリーズランキングでは、西條選手は9位となった。
ジェイ・ウィルソン選手(#27)ヒート1=優勝/ヒート2=優勝
「前戦で連勝がストップしてしまい、昨年に続いて全勝を逃すことになってしまいましたが、もちろんこの最終戦も最高のパフォーマンスを発揮することを心がけて臨みました。今大会は、とくに日曜日が曇りで薄暗い時間帯が多く、いつもはダークレンズを好んで使いますが、公式練習やヒート2ではクリアレンズを装着。そのヒート2ではスタートで出遅れてしまい、久しぶりにティアオフレンズをいっぱい剥がすことになりました。もちろん、そういう状況も想定して準備してあったので、とくに問題はありませんでした。今季は激しい雨の大会もありましたが、シーズンを通して100%のゴーグルにトラブルはなく、常にクリアな視界でチャンピオン獲得を助けてくれました。とても感謝しています」
大城魁之輔選手(#4)ヒート1=2位/ヒート2=2位
「第7戦の決勝ヒート1で足を負傷して以降、酷すぎるレースが続いてきたので、この最終戦で両ヒートとも2位になれたことで、少しはほっとしました。リザルトをまとめるという課題も、ようやくクリアできましたし……。とはいえ、ジェイ・ウィルソン選手に勝ちたいと開幕の段階からずっと言い続けてきて、ヒート2ではスタートからトップを走るという大チャンス到来だったのに、あっさり抜かれてしまいました。実力が足りていないことを痛感させられ、悔しさも残りました。今季はケガが続き、正直なところ苦しいシーズンになってしまいました。とはいえ、成長できた部分も多かったと信じたいです」
富田俊樹選手(#1)ヒート1=5位/ヒート2=4位
「ヒート1はスタートが決まったのですが、レース序盤は攻めきれず、転倒でリズムを崩し、ケガをしていた手の痛みも気になって5位が精一杯でした。ヒート2はスタートを大失敗してしまったのですが、これまでのレース人生で培ってきたすべての技術を全部出し切ろうという気持ちで走りました。表彰台には立てませんでしたが、満足しています。2007年から国際A級クラスとなり、そこから17年間戦ってきましたが、今季でレーシングライダーとしての活動にひと区切りつけることにしました。これまで応援してくださった方々に、心から感謝しています。ありがとうございました!」
渡辺祐介選手(#3)ヒート1=3位/ヒート2=5位
「前戦から2週間後の開催で、インターバルは短かったのですが、地元での最終戦に向けて、やれることを全部やろうと思いました。ヒート1は、久々に上位を走るということで力が入りすぎてしまい、腕上がりの症状で前との差を詰めることができなかったのですが、とはいえようやく表彰台に戻ってくることができました。ヒート2は、スタートで出遅れたこととリズムセクションでミスしたことから表彰台圏内を逃しましたが、しっかりレースはできたと実感しています。開幕戦の大ケガから、再びファンの皆さんに自分の走りを見てもらえるようになったことがうれしいです。支えてくれた人たちに感謝です」
西條悠人選手(#8)ヒート1=11位/ヒート2=8位
「土曜日の公式練習から調子がよく、予選でもホールショット。このときは、久々にトップを走ったことでカタくなってしまったのですが、決勝ヒート1も再びホールショットを決めることができました。それだけに、横澤拓夢選手との勝負で行き場を失い、接触して転んでしまったことが悔やまれます。ヒート2はもう少し追い上げたかったのですが、最後まで佐々木麗選手を抜けず、悔しい順位になってしまいました。今シーズンは、開幕戦で初優勝を挙げられたのに、その後は調子を落とし、サポートや応援してくれている方々に申し訳ない気持ちしかありません。来年に向け、課題に取り組んでいきます」