【全日本モトクロス選手権 レポート】
2024 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ
第2戦 HSR九州大会
2024年4月20日
熊本県/HSR九州
天候:曇り時々雨
気温:19度
コースコンディション:ドライ to ウェット
観客:1,269人
2024年の全日本モトクロス選手権シリーズ第2戦は、土曜日のワンデースケジュールにより熊本県のHSR九州で開催された。
当初は5月に予定されていた中国大会が中止になったことから、本来は土日で実施する予定だったこの第2戦を土曜日のみのスケジュールに変更。翌日曜日にも、まったく同様のワンデースケジュールで第3戦を実施して、レース数を確保することになった。
舞台となったHSR九州のモトクロスコースは、ホンダの熊本製作所に併設されたモータースポーツ&研修施設の一角にあり、ダイナミックなレイアウトを特徴としてきた。ただし、一昨年の大幅リニューアルで全長が短縮されてテクニカルなセクションが増加。さらに今大会に向けて各セクションの仕様変更が施され、よりコース幅が狭くフラットなセッティングとなった。山砂を搬入した整備が施されてきた歴史を持つが、本来の土質は阿蘇の火山灰に由来する黒土だ。
天候は曇り時々雨。正午ごろから雨が降り始め、一時的に強くなったが、路面に与える影響はそこまで大きくなく、午後はスリッピーな状態ながらマディにはならなかった。
Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスでは「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#7)と「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」の渡辺祐介選手(#12)、IA2クラスではヤマハのマシンを駆る「bLU cRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#7)と、プロモーションライダー契約を締結。ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアを提供する。また昨年に続き、「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」からIA1クラスにフル参戦するジェイ・ウィルソン選手(#1)に、100%ブランドのゴーグルをサポートする。しかし渡辺選手は、練習中のケガにより今大会を欠場した。
IA1クラス ヒート1
【IA1クラス ヒート1】
30分+1周となった決勝ヒート1を、ジェイ・ウィルソン選手(#1)は3番手、能塚智寛選手(#7)はやや出遅れて9番手からスタート。オープニングラップで能塚選手は8番手に順位を上げた。2周目、ウィルソン選手は3台によるトップ争いの最後尾、能塚選手はこちらも3台による5番手争いの後ろに。そして能塚選手は、6番手にひとつ順位を上げた。ところが翌周に入ったところで、能塚選手がマシントラブルにより緊急ピットイン。再スタートはできたが3分ほどロスして完全に周回遅れとなり、能塚選手は19位でレースを終えることになった。
一方、ウィルソン選手は依然として3番手で様子見状態。しかし4周目に順位を上げると、トップのライダーに僅差で迫った。7周目、ウィルソン選手は満を持してトップ浮上。その後は安定したペースで周回を重ねたが、1~2秒後方で抜いた相手からマークを受け続けた。13周目、ウィルソン選手は前の周よりほんのわずかにペースアップし、ベストラップをマーク。するとこの周、後続のライバルが転倒した。これでリードが約9秒に拡大したウィルソン選手は、残りのラップをクルージングして、17周のレースでトップチェッカーを受けた。
IA1クラス ヒート2
【IA1クラス ヒート2】
15分+1周の短いレースとなった決勝ヒート2。ジェイ・ウィルソン選手(#1)は2番手、能塚智寛選手(#7)はスタート直後の9番手から追い上げて6番手で1周目をクリアした。2周目、ウィルソン選手は激しいトップ争いを繰り広げて先行。さらに、約1.5秒のリードを奪った。能塚選手はこの周に5番手、3周目には4番手までポジションを上げた。
レース中盤、ウィルソン選手は2番手とのギャップを1.5秒前後に保ちながら周回。一方、能塚選手は3番手を約3秒差で追っていたが、レース終盤にかけてやや離された。ラスト2周の8周目、2番手のライダーがペースアップ。するとこれを察知したウィルソン選手は、最終ラップにベストラップをマークした。そして逃げ切ったウィルソン選手が優勝。能塚選手は3位と約3秒差の4位でゴールした。
IA2クラス ヒート1
【IA2クラス ヒート1】
ヒート1は30分+1周のレース。そのスタート直後、浅井亮太選手(#7)は8番手あたりで1コーナーに進入するかと思われたが、ストレートエンドで他の3~4台と絡むようにクラッシュ。この衝撃で、マシンは押し引きができないような状態となり、そのままリタイアとなった。
IA2クラス ヒート2
【IA2クラス ヒート2】
15分+1周のスプリントレースとなったヒート2。午前のレースでクラッシュしてカラダにダメージを抱える浅井亮太選手(#7)も、スターティンググリッドに並んだ。その浅井選手は、1周目を12番手でクリア。前のライダーを追った。3周目には13番手に順位を下げたが、翌周に上位勢の脱落があり12番手に復帰。この段階で前のライダーとはコンマ数秒差だったが、その後は数秒離された。8周目、浅井選手は1台の先行を許して13番手。しかしラストラップとなった9周目に意地で抜き返し、12位でチェッカーを受けた。
ジェイ・ウィルソン選手(#27)ヒート1=優勝/ヒート2=優勝
「今回は、どちらのレースも序盤でライバルに先行され、とくにヒート1はしばらく後ろについてバトルしていたこともあり、かなりティアオフを使うことになりました。幸いなことに、暗さに対応するためスモークではなくクリアのレンズを装着していたのに加え、どちらのヒートもしっかりティアオフをセットしてもらっていたので、問題はありませんでした。またヒート2は、雨もけっこう降っていましたが、中に入ってくるようなこともなく、視界をしっかり確保できました。優れた視認性はライディングにとても大切。“アイ・ラブ・ティアオフ”と剥がしながら走りました。日本に来てから100%ゴーグルでのトラブルは一切なく、とても助かっています」
能塚智寛選手(#7)ヒート1=19位/ヒート2=4位
「ヒート1は、レース序盤にマシントラブルが発生してピットイン。これで3分くらいロスし、完走はしましたがポイントは獲得できませんでした。ヒート2はスタートが決まらず、これはヒート1も同様でしたが昨年からの課題で、あまり成長していないことを悔しく思います。上位4~5人のタイムが比較的拮抗しており、自分は後ろから追い上げるのでどうしても不利な状況。かといって、そこからもう一段スピードを上げる実力はなく、やはりスタートを決めることが大きなポイントだと痛感しました。ヒート1はドライでしたが、ヒート2は雨が降り始めた状況でのレース。使用するLEATTのゴーグルに関して、ラミネートのティアオフを7×2セット装着して臨みました。雨が浸入してくるようなこともなく、トラブルなしで使えたので、追い上げる中でも視界を確保することができました」
浅井亮太選手(#7))ヒート1=DNF/ヒート2=12位
「ヒート1は、他車と絡むように転倒。その場所が1コーナーへの進入で、スピードがかなり出ているところだったので、自分はカラダだけが1コーナーの外側に飛ばされてしまいました。復帰しようと思って自分のマシンに駆け寄ったのですが、接触と転倒の影響で破損しており、再スタートできませんでした。そして自分自身もこのクラッシュでカラダを痛め、かなり厳しい状態。ヒート2は、気合いで行くしかないという感じでした。開幕戦も落とし、ヒート1もDNFと、今シーズンは開幕から不本意なリザルトが続いているので、まずはしっかりレースをしないと自分らしさを取り戻せないと思い、上位を狙うには厳しい状況でしたが、必死に走りました」