【全日本モトクロス選手権 レポート】
2024 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ
第4戦 SUGO大会
2024年6月1日(土)・2日(日)
宮城県/スポーツランドSUGO
天候:曇りのち雨
気温:17度
コースコンディション:ウェット to マディ
観客:2,500人
2024年の全日本モトクロス選手権シリーズ第4戦は、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。今季は開幕から3戦連続でワンデースケジュール(第2・3戦は土日ダブルヘッダー)となっていたが、今大会は土曜日に予選、日曜日に決勝を実施する通常フォーマットで実施された。
舞台となったのは、オンロードサーキットやカートコースなども有する巨大な複合モータースポーツ施設のスポーツランドSUGO。そのインターナショナルモトクロスコースは、丘陵地に設けられており、自然の地形を生かした豊富なアップダウンと、ハイスピード区間からテクニカルセクションまでバリエーション豊かなレイアウトを特徴とする。
大会開催中は断続的な降雨があり、各クラスの決勝が実施された日曜日は、粘土質の路面がやや多く水を含みながらも、マディには至らない状態。午前中は雨が小康状態となり、昼ごろにかけてベストに近い状態まで路面は回復していった。しかし14時ごろから激しい雨が降り、IA2の決勝ヒート2およびIA1の決勝ヒート3はマディコンディションとなった。
Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスでは「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#7)と「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」の渡辺祐介選手(#12)、IA2クラスではヤマハのマシンを駆る「bLU cRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#7)と、プロモーションライダー契約を締結。ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアを提供する。また昨年に続き、「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」からIA1クラスにフル参戦するジェイ・ウィルソン選手(#1)に、100%ブランドのゴーグルをサポートする。しかし渡辺選手は、ケガにより第2戦から欠場が続いている。
IA1クラス ヒート1
【IA1クラス ヒート1】
IA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施された。そのヒート1では、スタート直後に能塚智寛選手(#7)が3番手、ジェイ・ウィルソン選手(#1)が4番手のポジションを確保。能塚選手はすぐに5番手まで順位を下げたが、ウィルソン選手は次々に日本人ライダーを抜いてトップに立った。レース序盤、ウィルソン選手はリードを6秒ほどに拡大。一方、能塚選手は3~4秒先行する4番手のライダーを追い続けた。
4周目以降、腕上がりの症状が発生したウィルソン選手は思うようにペースを上げられず、これで2番手のライダーにやや接近されたが、6周目の段階でも約3秒のアドバンテージ。焦ることなく最後までレースをコントロールし、9周でチェッカーとなったレースをトップでフィニッシュした。レース後半、能塚選手は4番手を2~3秒差で猛追。しかし完全に接近することはできず、5位でゴールした。
IA1クラス ヒート2
【IA1クラス ヒート2】
ヒート1よりもさらに路面がドライに近い状態ながら、これまでの走行により深いワダチが何本も刻まれた難しいコンディションとなった決勝ヒート2。スタート直後の1コーナーではマルチクラッシュ発生し、これに巻き込まれて転倒した能塚智寛選手(#7)は、ほぼ最後尾から追い上げを強いられる苦しい展開となった。一方、ジェイ・ウィルソン選手(#1)はしっかりスタートを決めると、1周目に1台を抜いてトップに立った。
2周目、ウィルソン選手はリードを約4秒に拡大。翌周にもさらにリードを広げ、5秒ほどのアドバンテージを得た。しかしまたしても腕上がりの症状に見舞われ、4周目から若干のペースダウン。これにより1周につきコンマ数秒ずつ2番手に接近された。それでも粘りの走りを続けたウィルソン選手は、相手が7周目からペースダウンしたことで再びリードを拡大。9周のレースで再び勝利を収めた。能塚選手は10位まで追い上げてゴールした。
IA1クラス ヒート3
【IA1クラス ヒート3】
IA2決勝ヒート2のスタート前から降り始めた激しい雨により、一転してコースはマディコンディションに。レースはジェイ・ウィルソン選手(#1)のホールショットで幕を開け、能塚智寛選手(#7)は1周目9番手からの追い上げを狙った。2周目には能塚選手が6番手まで順位を上げ、ウィルソン選手はリードを約4秒に拡大。3周目、2番手を走っていた選手が転倒で後退したことで、ウィルソン選手は約13秒のリードを得た。
能塚選手は、3周目にミスして7番手に後退したが、翌周にはペースを取り戻して6番手に返り咲くと、さらに追い上げを継続。ラスト2周となった6周目には、5番手に浮上した。レース終盤、ウィルソン選手は堅実な走りに切り替え、これで2番手のライダーが接近したが、それでもウィルソン選手のアドバンテージは8秒以上。そのまま逃げ切ったウィルソン選手が3ヒート制覇を達成した。能塚選手は5位でチェッカーを受けている。
IA2クラス ヒート1
【IA2クラス ヒート1】
日曜日朝の段階で日中は降雨の予報だったことから、IA2クラスのレース時間は5分短縮され、25分+1周に設定された。しかしヒート1は雨が小康状態で、コースはドライに近い状態。浅井亮太選手(#7)はスタートで大きく出遅れ、オープニングラップを14番手でクリアする苦しい展開となった。さらに、2周目には同じく出遅れたランキング上位勢の先行を許して15番手に後退。しかしここから、浅井選手はリズムを取り戻した。
3周目以降、1周につき1台のペースで順位を上げ、浅井選手は5周目に12番手。翌周からは3台による10番手争いとなり、7周目にはこれの先頭に立った。さらに9周目には、直前を走っていたライダーがマシントラブルでピットインしたため、難なく9番手に浮上。しかしこの段階で前とは9秒近いギャップがあり、浅井選手のペースも落ちたことから、13周でチェッカーとなったレースを浅井選手は9位で終えた。
IA2クラス ヒート2
【IA2クラス ヒート2】
ヒート1と同じく25分+1周の戦いとなったIA2決勝ヒート2は、その直前から激しい雨が降り始め、周回ごとにコースコンディションが悪化する難しい状況となった。読めないスリッピーな路面でランキング上位勢にも転倒やミスが相次ぐ中、浅井亮太選手(#7)はオープニングラップを8番手でクリア。レース序盤、浅井選手は3秒ほど先行する3台の5番手集団を追った。
しかし4周目に転倒して、浅井選手は9番手に後退。この周から大きくペースダウンした浅井選手は、前を走るライダーたちから完全に離されてしまった。8番手を走っていたライダーが6周目にリタイアしたことから、浅井選手は8番手に浮上したが、これ以降は順位をキープ。ラスト2周にはミスを重ねたが、それまでの段階で9番手以下は大きく引き離しており、12周でチェッカーとなったレースを浅井選手は8位でゴールした。
ジェイ・ウィルソン選手(#27)ヒート1=1位/ヒート2=1位/ヒート3=1位
「酷いマディコンディションだった第3戦HSR九州大会は残念な結果に終わりましたが、そのときの経験から、ロールオフシステムの必要性を痛感していました。じつは来日以前に、他社のロールオフを使ったときにうまく作動せず、ちょっと懐疑的だったんです。そのため、土曜日の予選でまずは一度テストし、決勝に向けて準備しました。
ヒート1とヒート2はティアオフでなんら問題ない状況でしたが、ヒート3は酷いマディとなり、迷うことなくロールオフを選択。100%のロールオフを実戦で使用するのは今回が初めてでしたが、最初から最後まで何のストレスも感じさせずに作動してくれて、さすがにマーケットで絶大な支持を集めているだけのことはあると感動しました。
今回、マディでも九州のようなことにならなかったのは、100%ゴーグルでしっかり視界を確保できたから。このロールオフは本当に“グレート”です!」
能塚智寛選手(#7)ヒート1=5位/ヒート2=10位/ヒート2=5位
「どうしてこんな結果になってしまったのか、自分でもよくわからない部分があります。土曜日朝の公式練習ではタイムが良かったのに、予選と決勝ともに自分の走りができず、何もできずに終わってしまいました。こういう路面コンディションにとにかく苦手意識があり、チームにもマシンのセッティングなどで試行錯誤してもらったのですが、結果的には自分が乗れていないことに気づいて、どんどん自分の殻に閉じこもってしまう悪循環。
攻めの走りができず、普段の練習では絶対に負けないような相手すら抜けず、リズムを作ることができずに終わりました。
自分は、レース時間が短かったことから、ヒート3もラミネートのティアオフを使用。雨が激しすぎて、残り半周くらいでティアオフを使い切ってゴーグルを外しましたが、水が浸入するなどのトラブルはありませんでした」
浅井亮太選手(#7))ヒート1=9位/ヒート2=8位
「予選の結果が12位と悪く、いいスタート位置を選べなかったことに加え、反応がちょっと悪くてヒート1のスタートで出遅れました。たぶん、コーナーをふたつ抜けた段階では20番手くらい。それでも1周目にだいぶ順位を上げられましたが、その後は爆発的な速さを発揮できず、9位に終わりました。ヒート2は、1周目の順位は今季を考えたら悪くなく、その後も前のライダーを追っていたのですが、4周目に転倒してしまったことで、その後はペースが上げられなくなり、8位に終わりました。酷い雨のレースで、難しいコンディションでした。
今回、使用している100%のゴーグルに新色が登場してカラーバリエーションが増え、自分の中でもレース前のテンション上げる要素になっています。天気のいいドライのレースで、そのカッコよさを多くの観客に確認してもらえるよう、もっといい位置を走れるよう努力を続けます」