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2024.10.26 レース結果

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権 第8戦 レースレポート

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権 第8戦 レースレポート

全日本モトクロス選手権 レポート

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ

8戦 第62MFJ-GPモトクロス大会

2024年1019日(土)・20日(日)

宮城県/スポーツランドSUGO

天候:晴れ

気温:16

コースコンディション:ドライ

観客:3,200

 

年間8戦が設定された今季の2024年の全日本モトクロス選手権シリーズは、シーズン最終戦を迎え、第62MFJ-GPモトクロス大会として宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。今季の大会には、1日で予選と決勝をすべて実施するワンデースケジュールが多く導入されたが、今大会は土日開催となった。

今季第4戦の舞台にもなったスポーツランドSUGOは、巨大な複合モータースポーツ施設。その一角にあるインターナショナルモトクロスコースは、20年近く前に世界選手権を誘致した実績もある。山と丘の斜面に設けられたコースはアップ&ダウンが豊富で、上り急勾配の「大坂」も名物。ハイスピードセクションも多い。これまでもレイアウト変更に積極的だったが、今大会前にもアウトラインを踏襲しつつジャンプやリズムセクションを中心とした大幅な仕様変更が加えられた。

各クラスの決勝が実施された日曜日の天候は晴れ。前夜に降雨があったものの、その影響は少なく、粘土質の路面が柔らかくなった程度で、午後には大量の土ボコリが発生するほどだった。ベストコンディションではあったが、走行により路面には深いワダチが多く刻まれ、これをどう攻略するかも上位進出のカギとなった。

Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスでは「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#7)と「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」の渡辺祐介選手(#12)、IA2クラスではヤマハのマシンを駆る「bLU cRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#7)と、プロモーションライダー契約を締結。ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアを提供してきた。また昨年に続き、「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」からIA1クラスにフル参戦したジェイ・ウィルソン選手(#1)に、100%ブランドのゴーグルをサポート。ウィルソン選手は、前戦ですでにIA1連覇を決めている。

IA1クラス ヒート1

IA1クラス ヒート1

IA1クラスの決勝は、25分+1周の2ヒート制で実施された。今大会には、ホンダから世界選手権ライダーがスポット参戦。全日本勢がどこまで迫れるかにも注目が集まった。ヒート1では、ジェイ・ウィルソン選手(#1)ら3台が、序盤にこの世界選手権ライダーを抑えながらトップグループを形成。そして5周目には、ウィルソン選手がトップに浮上した。しかし翌周、ウィルソン選手は2番手後退。その後、世界選手権ライダーに離された。

一方、能塚智寛選手(#7)は1周目7番手、渡辺祐介選手(#12)は同8番手からのレース。5周目、前を僅差で追っていた能塚選手が転倒して9番手まで後退した。能塚選手は、10周目に渡辺選手ら2台をパスして7番手に復帰。さらに、12周目にも1台を攻略して6番手となった。ウィルソン選手は、9周目まで2番手を守っていたが、ここからペースダウン。レースは14周でチェッカーとなり、ウィルソン選手は4位に終わった。能塚選手は6位でフィニッシュ。渡辺選手は、前を僅差で追い続けて9位でゴールした。

 

IA1クラス ヒート2

IA1クラス ヒート2

決勝ヒート2では、ジェイ・ウィルソン選手(#1)がホールショット。一方、スタート直後の1コーナーではマルチクラッシュが発生し、これに巻き込まれた能塚智寛選手(#7)はほぼ最後尾からのレースとなった。渡辺祐介選手(#12)はやや出遅れて1周目9番手。レース序盤、ウィルソン選手は世界選手権ライダーを含む3台を従えながら、トップを快走した。3周目にはこのトップグループから1台が脱落。依然としてウィルソン選手は先頭を守った。

8周目、ウィルソン選手は2台に抜かれて3番手後退。その後、同じく全日本を戦う2番手の外国人選手に僅差で迫った。しかし最後まで勝負には持ち込めず、ウィルソン選手は3位となった。このレースで驚異の追い上げを見せたのは能塚選手。2周目には12番手、3周目には8番手に順位を上げると、さらにパッシングを続け、最後は4番手のライダーに迫った。そして逆転を狙ったものの転倒。能塚選手は5位となった。また渡辺選手は、単独走行する時間が長く、6位でのゴールとなった。

IA2クラス ヒート1

IA2クラス ヒート1

IA2クラスも、決勝は25分+1周の2ヒート制で実施。そのヒート1では、浅井亮太選手(#7)が好スタートを決め、1周目に1台の先行を許したものの、4番手からレースに臨んだ。レース序盤、浅井選手は前を走るライダーからわずかに離されたが、それでもギャップは3秒程度。一方で、後続に対しては最初の4周で8秒ほどのリードを奪った。

レースが中盤に入ると、浅井選手は3番手との距離を詰めはじめ、その差は約2秒に。ところが9周目、浅井選手は転倒を喫して5番手に後退した。終盤、それほどロスなくレースに復帰した浅井選手は、4番手の選手を追い続けたが、じわじわと離されることに。そしてレースは14周でチェッカーとなり、浅井選手は4位と約5秒差の5位となった。

IA2クラス ヒート2

IA2クラス ヒート2

ヒート1に続いて浅井亮太選手(#7)はまずまずのスタートを決め、4番手からのレースに。オープニングラップで1台に抜かれたが、5番手で1周目をクリアした。ところが2周目、ペースが上がらない浅井選手はさらに2台の先行を許し、7番手までポジションダウン。3周目以降、じわじわと6番手に離され、逆に後ろから2台のマークを受け続けた。

ここから浅井選手は粘りをみせ、後続を抑え続けると、6周目には約3秒のリードを確保。6秒ほど前を走る6番手のライダーを追った。7周目、このライダーがマシントラブルで脱落したことから、浅井選手は6番手に浮上。しかしこの段階で、5番手とはかなりの距離があった。そしてレースは再び14周で終了となり、浅井選手は6位でゴールした。

ジェイ・ウィルソン選手(#1)ヒート1=4位/ヒート2=3位

「前戦でシリーズタイトル獲得を決め、比較的リラックスした状態でしたが、そこにホンダの世界選手権ライダーがスポット参戦することになり、気持ちを切り替えて攻めの姿勢をつくるのが少し難しかったです。ヒート1は残念な結果で、ヒート2は持ち直して3位。改善できたことはよかったですが、課題もたくさん見えた最終戦となりました。100%のゴーグルに関しても、今回はこれまでとちょっと違うレースになりました。コースコンディションはややウェットからドライ、そしてホコリが多い状態に変化。さらに、晴れているのに日が陰る瞬間も多々あり、レンズ選択にも気を遣いました。通常、ドライのレースではスモークかブルーのレンズを好みますが、状況次第でクリアレンズも使用。そもそも、今回は誰かの後ろを走ることが多く、ティアオフもいつも以上に使いました」

能塚智寛選手(#7)ヒート1=6位/ヒート2=5位

「ヒート1は、途中で転倒して後退してから、再び追い上げて6位。走りそのものはスゴく悪いというわけではなく、涼しいからかカラダも動いていたと感じています。ヒート2は、スタート直後の1コーナーで転倒して、すべて台無し。目の前で転倒されてしまい、逃げ場がありませんでした。気づいたら5番手まで上がっていて、4位も狙える状況にはなりましたが、トップ3の外国人ライダーたちは話にならないくらい遠い位置にいました。こんなところで日本人最上位を争っている場合ではないと思います。今季は表彰台争いができるライダーの層が厚くなり、自分が何かミスしたらそれを取り返すのは大変だし、ミスがなくてもスピードで負けた1年でした。とはいえ、今年はケガなく終えられたことにはホッとしました。この悔しさをバネに、シーズンオフの練習に取り組んでいきたいです」

 

渡辺祐介選手(#12)ヒート1=9位/ヒート2=6位

「今大会での完全復帰を目指してやってきたので、本当はもう少し上の順位でゴールしたかったのですが、とはいえ現在できる最大限の走りはできたと感じています。前戦終了直後、負傷した大城魁之輔選手の代役としてモトクロス・オブ・ネイションズを急遽走ることになり、一瞬だけ家に戻るくらいのスケジュールでイギリスへ。自分もケガから復帰したばかりでしたが、断れば日本チームが不参加になるくらいの状況だったので、絶対に無理はしないことを条件に引き受けました。チームにはまったく貢献できず、その点は申し訳なく思いますが、夢の舞台を経験させてもらい、来年に向けて自分に何が足りないのかもわかったし、大きな刺激を受けました。2年連続で大きなケガで戦線離脱してしまいましたが、来年は絶対にこのようなことなく戦い抜いて、チャンピオン争いしたいです」

浅井亮太選手(#7)ヒート1=5位/ヒート2=6位

「ヒート1は、せっかく表彰台圏内でのゴールを賭けた3番手争いができていたのに、レース後半になって転倒。深いワダチに捕まった結果で、避け切るのが難しいミスではあったとはいえ、もったいないレースになりました。ヒート2も、ヒート1と同じくそれなりにいいスタートを切ることができたのですが、路面がかなり乾いて固くなり、それに対応できないうちに終わってしまいました。今シーズンは最後までうまくいかないことばかりで、自分自身と向き合うのが難しかったのですが、それでも後半戦は、いいところが多少は出てきたようにも思っています。もちろん、だからといって実力不足であることに変わりはなく、ここからのシーズンオフでしっかり鍛え直して、来季につなげたいです」